日常生活で耳にする音楽には、ほぼ全てに調(英語ではKey キー)というものが含まれています。調はどういうスケールやコードを使うかを決める曲全体の土台のような役割を果たします。
調には大きく二つの機能があります。
一つ目の機能は「この曲は明るい楽しい曲なのか?暗い悲しい曲なのか?」の二択から決めます。一般的には明るい曲は長調(メジャーキー)、暗い曲は短調(マイナーキー)とされていますが、必ずしも感情表現と一致するわけではありません
長調には長音階(メジャースケール)、短調には短音階(マイナースケール)を主に使います。
静かなバラードで悲しい曲だから短調かと思いきや長調な曲が多く、必ずしも直感と一致するわけではありません。
例えばビートルズのLet It Beは長調です。
二つ目の機能は「曲をどの高さにするか?」を決めます。
カラオケで歌う際に、高過ぎ、もしくは低過ぎて声が出ないときリモコンで曲の高さを上げ下げします。あのイメージでボーカルや楽器など、その曲の主役が最も演奏しやすい高さに設定します。
長調(明るい曲)なのか短調(悲しい曲)なのかを決め、曲の高さも決めると、同時にその曲に主音というコードやメロディが最も安定感を感じる音が決まります。
長調であれば長音階(メジャースケール)の第一音ドにあたる音、短調であれば短音階(マイナースケール)の第一音ラにあたる音がその調の主音です。
調が変わるとこの「ド」と「ラ」を移動ド、移動ラと言い、その調の主音とみなす考え方です。
Gメジャーキーであれば、Gメジャースケールなので移動ドにあたる音は「G」
Eマイナーキーであれば、Eマイナースケールなので移動ラにあたる音は「E」です。
この移動ド、移動ラを見つける事が出来ればこの曲のキーは何なのか?が分かります。
サビの歌メロの最後の音や、最後のコードが曲の主音(主和音)になる事が多いですが例外もあります
五線譜の最初に、その曲でどの音にシャープ(#)やフラット(♭)を付けるかを示す記号を「調号」と言います。調号を見ることで、瞬時に何調の曲なのかを把握できるほか、小節内の音符に毎回#や♭を書く手間を省くことができます。
調号は五線譜にのみ使用される記号であり、タブ譜では使用されません。これはタブ譜が音の高さではなく指板上のポジションを示す記譜法であるためです。
たとえば、Cメジャーキーの曲ではメロディやコードがCメジャースケールの音を基に作られています。Cメジャースケールの音は次の通りです:
C D E F G A B
このスケールにはシャープやフラットが含まれないため、調号には記号が何も記されません。この場合、調号は「何も付記されていない五線譜」として表されます。
五線譜の最初に調号が何も書かれていない場合、その曲はシャープ(#)やフラット(♭)を一つも使わない調、つまりCメジャーキーであることを示しています。
Gメジャーキーの場合は、Gメジャースケールを使用します。この音階は次のようになります:
G A B C D E F#
このように、Fにのみシャープ(#)が付きます。これを調号で表すと、次のように記されます。
この調号は「Fに#が付く調、つまりGメジャーキーです」と表しています。
Dメジャーキーであれば、Dメジャースケールの音は、
D E F# G A B C#
となり、FとCに#が付きます。
Dメジャーキーを調号で表すとこのように、
「FとCに#が付く調ですよ」
と表記します。
調号は#と♭が混合することはなく、#のみか♭のみで記載し、それぞれ最大で七個まで付ける事が出来ます。